2025.07.17

5月14日から5月23日、FAOモンゴル事務所からの依頼を受け、“Strengthening AMR Surveillance in Mongolia: Hands-on Training on Minimum Inhibitory Concentration (MIC) Testing”と銘打った最小発育濃度の測定に特化した研修を行いました。本研修は、モンゴルで問題となっている薬剤耐性菌の同定・解析に関する能力向上を目的としており、One Healthリサーチセンター(OHRC)で受け入れました。実技研修の殆どは当教室のBSL3実験室で実施しました。FAOモンゴル事務所、中央獣医学研究所、国立人獣共通感染症研究所、国立食品安全リファレンスラボから各1名、4名の研修生が来札しました。FAOのEnkhtuyaさんと私が旧知であったことから、研修が実現しました。実際の研修はS先生とE君が、ほぼ全てを担当してくれました。計画を立てた当の本人は5月13日から18日まで不在という無責任さに深く反省しております。4名の研修生は真面目に研修に取り組み、研修終了時にはEnkhtuyaさんが「正にこのような研修内容を希望していました。研修生一同とても満足しています。」と、心からの感謝の気持ちを述べていました。S先生とE君の尽力に感謝です。

彼らが帰国後間もなくの、5月30日から6月7日、モンゴルを訪問しました。今回の研修で繋がりができた国立食品安全リファレンスラボを含め、OHRCとモンゴルの複数機関が共同で新たな研究計画を纏めることが目的の一つです。滞在中、彼らが“Mongol Khan”という戯曲の観劇に招待してくれました。モンゴルでは2年前から公演されて好評を得ており、シンガポール、ロンドン公演でも好評であった戯曲です。感想を一言で表現すると“Spectacular”です。迫力に圧倒されました。今年10月には東京と名古屋で日本公演もあるそうです。

7月13日に天皇皇后両陛下が公式訪問を終えモンゴルから帰国されました。両陛下のダンバダルジャー日本人慰霊碑、ホスタイ国立公園(在来馬“Tahki”の保全)へのご訪問は感慨深いものがありました。これらの場所には、私たちが卓越大学院プログラムのOne Health モジュールのサブモジュール4“One Health on-site training”をモンゴルで実施する際に、歴史と文化の理解を深める目的で大学院生とともに訪問しています。歴史からの学びと異文化理解は、グローバルに協働できる人材の育成に必須ですし、その継続的な取り組みは、平和、公平性など現代社会が抱える根本的な問題の改善に寄与するでしょう。今後も、互恵の精神を礎に、モンゴルと日本の良好な関係が長く続くことを願っています。

 

文責・堀内                                            

 

                                             BSL3実験室にて